きのしたカイロプラクティック(香川県高松市・木下カイロプラクティック)

国際基準をクリアした本格的カイロプラクティック

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〒760-0063 香川県高松市多賀町2-16-18-1F

03.神経のおはなし

01.神経にとってたいせつなもの

「ほとんどすべての器官、組織は神経系の支配を受けていて、神経系の働きを正常化すれば身体の機能が向上し健康になる。」
というお話をしてきました。

ではその神経系にとって大切なものは?
それは「筋肉や関節などの末梢からの情報」なのです

Dr.カーリックはこう言っています
「The human nervous system is a recepter based,sensory dependent system.」
「人ってレセプターに基づいた感覚依存のシステムなんだよ!感覚情報が脳を活性化させるんだよ!」

大げさに言うと
すべてをコントロールしている脳をはじめ神経系は、筋肉や関節からの情報によって生きていけるんだよ
ということです。

すべての細胞にとって必須なのは遺伝子による「たんぱく質の合成」です。
神経細胞であるニューロンももちろんそうです。
細胞膜上のレセプター、イオンチャンネル、軸索、神経伝達物質被膜などなど神経細胞のほとんどはたんぱく質で構成されています。
たんぱく質の半減期というものがあり、一定の期間で神経細胞や筋肉の構成されているたんぱく質は半分になってしまいます。
たんぱく質の合成が行われなければ神経細胞は変性過程をたどり最終的には壊死していくのです。
ですからたんぱく質の合成はとても大切なわけです。

遺伝子によるたんぱく質の合成にはきっかけが必要なのですが、神経において最大のきっかけは「刺激」です
刺激を受けることでDNA内のIEG(Immediately Early Gene:即時型遺伝子)が賦活され、mRNAが活性化される。
細胞膜上のリボソーム状でRNA3文字の暗号によるアミノ酸が連鎖的に配列されてたんぱく質が合成される。

つまり神経が生きていくためには「刺激」が必要ということです。
特に関節や筋肉などの固有受容器からの情報(刺激)がとっても大切です。
カイロプラクティックの矯正は、遺伝子によるたんぱく質の合成を促し、神経細胞を活性化し、神経機能の向上につながるというわけです。

02.神経系の生存条件

01話でお話したように神経系の生存条件のひとつは「刺激」です。
もうひとつは「燃料の供給」です。

神経細胞にとっての燃料は2つあります。
それは「酸素」と「グルコース」です。
グルコースは糖が分解されたもので、ブドウ糖ともいいます。
ヒトの大脳を始めとする中枢神経系ではグルコースが唯一のエネルギー源です。神経細胞は細胞内にエネルギー源を蓄えておくことができないので血液中から取り込むグルコースだけが頼りです。
細胞呼吸でグルコースと酸素が水と二酸化炭素に分解される過程でエネルギーが産生されます。
グルコース+酸素→二酸化炭素+水+エネルギー(ATP)
「酸素」「グルコース」どちらかひとつでも低下すると、ニューロンの遺伝子によるたんぱく質の合成が低下して、神経の機能異常になります。

つまり神経細胞が生きていくためには
「刺激」「グルコース」「酸素」が必要ということです。

「刺激」についてもう少し詳しくお話したいと思います。
刺激には2つのタイプがあります。
それは「絶え間なく続くもの(constant)」と「そうではないもの(non-constant)」です。
Constant:筋肉の筋紡錘、ゴルジ腱器官、関節受容器などの様々な固有受容器
Non-constant:味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚などの五感の刺激

固有受容器(propriocepter)とは、筋、腱、関節にある「空間における生体の位置と姿勢を感受する受容器」です。
感覚受容器である筋紡錘と腱紡錘は筋肉の情報を、常に中枢神経系に伝えています。
関節受容器も様々なタイプがあり、常に中枢神経系に情報を伝達しているものもある。
この筋肉や腱、関節受容器から常時刺激が我々の神経機能の維持に重要ということです。
ですからカイロプラクティックアジャストメントでリセットゲインをして筋紡錘の感度を正常化したり、関節受容器からの入力を正常化することは非常に重要である。

このように私たちの神経系は「レセプターに基づいた感覚依存のシステム」です。
サブラクセーション(ゆがみ)を矯正して正常な情報伝達が行われるようにしましょう。

03.神経の生存条件が減ると

神経が生きていくためには
「刺激」と「燃料(酸素とグルコース)の供給」が必要というお話をしてきました。
それが低下したときの変性過程をわかりやすく表にまとめてみました

「刺激」「酸素」「グルコース」が低下

たんぱく質合成が低下

ミトコンドリアのATP産生が減少

細胞膜上のNaポンプの機能が低下

細胞内にNaイオンが流入し細胞は膨潤(swelling)する

核は周辺においやられる

嫌気性解糖が進みピルビン酸、乳酸が増加して活性酸素が増える
この過程で脱分極が進み、神経は非常に興奮しやすくなる。

活性酸素によるDNA、RNA損傷などが起こる

神経変性により細胞のネクローシス(壊死)にいたる

細胞死にはアポトーシスとネクローシスがあるわけですが、ネクローシスは細胞内容物が放出され、周辺組織に炎症反応が引き起こされます。
アポトーシスはプロクラムされた細胞死で、発生過程での神経ネットワークの形成にも役立っています。
人は産まれるときに約半分の神経細胞が死ぬという話を聞いたことがあります。
こちらは炎症反応は引き起こされません。
発生過程でも、出産後でも起こっています。

04.血中酸素飽和度

神経の生存条件は刺激、酸素、グルコースというお話をしてきました。
この回では『酸素』についてお話します。
安静時における組織100gあたりの酸素消費量は、心臓、腎臓の次に脳は多く、身体の器官の中でも非常に酸素を必要としている。

『酸素』の不足は神経機能異常につながるので、血中酸素飽和度(SpO2)を計測することは神経系を評価するに当たって極めて重要です。
カイロプラクティックで矯正しても血中酸素飽和度が低ければ、矯正効果を十分に発揮できないことでしょう。
当院では帝人のパルスオキシメーターを用いて計測しております。
SpO2の正常値は96%以上です。

血中酸素飽和度が下がる原因で多いのは肺炎、痰づまり、肺気腫、気管支喘息などの呼吸器疾患です。
カイロプラクターとしてよくみる低酸素の方は、発熱、鉄欠乏性貧血、いびき、無呼吸症候群、気管支喘息、不良姿勢や肩こり、関節や神経の機能障害かもしれません。

[鉄欠乏性貧血]
赤血球に含まれるヘモグロビンは、身体中に酸素を運ぶ重要な働きをしています。
鉄が不足するとヘモグロビンの産生がうまくいかなくなるため、赤血球1個あたりのオキシヘモグロビンが減ります、そのため酸素運搬量が減り、血中酸素飽和度が下がります。

〔いびき、無呼吸症候群〕
いびき、無呼吸など睡眠呼吸障害による低換気で血中酸素飽和度は下がります。
原因としては肥満、アルコール摂取、扁桃腺肥大、睡眠時の体位、顎が小さい、舌の肥大などなど。
「肥満」や「アルコール摂取」関しては自身で対処しやすい問題です。自己管理しましょう。
カイロプラクティックケアはいびきの改善にも役立ちます。
またウォーキングや呼吸法、咀嚼などのリズム性運動でセロトニン神経系(B1,B2)を活性化して、筋緊張を維持することで無呼吸を抑えることもできます。

[不良姿勢、筋肉の過緊張、関節や神経の機能障害による低換気]
呼吸には横隔膜の運動を主とする腹式呼吸、肋間筋の運動を主とする胸式呼吸があり、通常は共同の胸腹式呼吸です。安静時には主として腹式呼吸が関与しています。
横隔膜は第3〜5頚髄から出力する横隔神経の支配を受けているので頚椎サブラクセーションでは十分な情報伝達が行われず、腹式呼吸の働きの低下につながります。
また胸椎サブラクセーションや筋肉の過緊張、不良姿勢によって、胸郭拡張が十分に行われないかもしれません。
サブラクセーションや不良姿勢などでは血中酸素飽和度は大きく下がることはない思います、下がっても1〜2%程度でしょう。
カイロプラクティックは「より良い健康」を目指すものであり、このようなわずかな客観的データの改善でも神経機能改善には重要です